大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ネ)1532号 判決

控訴人等代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が昭和二十四年八月九日別紙(原判決添附)目録記載の土地につきなした民有未墾地買収計画はこれを取り消す。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、本件買収計画樹立異議申立棄却決定謄本の送達された日時が昭和二十五年二月二十一日であることについては当事者間に争いなきことの外はすべて原判決の事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。(証拠省略)

三、理  由

先ず本訴は訴願の裁決を経ない不適法のものであるとの被控訴人の抗弁につき按ずるに、控訴人等の買収計画に対する異議申立の棄却されたのが昭和二十五年一月三十一日でその決定謄本の送達されたのが同年二月二十一日であるのに同年三月三十一日栃木県知事に訴願を提起したので同知事が訴願期間を徒過した不適法のものとしてこれを却下したことは当事者間に争いがないのであるが、原審における原告佐藤信三郎の当審における控訴本人高島祐一、君島貞一の各供述によれば、本件当事者は多数のため共同して訴願するため総代選任に手間取り且つ総代の一人君島貞一において病気臥床のため訴願期間を経過したことが認められ、右は訴願法第八条第三項所定の宥怒すべき事由ありと認むべき場合に該当するので、訴願庁としては訴願を受理し、内容の審査をなすべかりしものであるから、これが内容審査なくして本訴に及ぶも何等訴願前置主義に反することなく、この場合においても出訴期間については右訴願却下の裁決謄本送達の日から起算すべきものと解するを相当とする。従つて右謄本が送達ありたることを控訴人等の自認する日時の昭和二十五年七月十三日より一ケ月内なる同年八月十一日に提起(同日提起は訴状受附日附により明らかである)せられた本訴は不適法とは云い難い。

よつて本案につき審按するに、被控訴人が昭和二十四年八月九日控訴人等所有の別紙(原判決添附)目録記載の未墾地買収計画を定め、控訴人等がこれに対し異議の申立をなしたところ、被控訴人は昭和二十五年一月三十一日異議申立を棄却したので控訴人等より前述の如く訴願に及んだがこれを却下せられたことは当事者間に争いがない。

ところで右買収計画の取消を求める本訴において控訴人等の主張する違法の点は、「前記目録物件中第一回計画に附記せる土地については、昭和二十四年一月十日被控訴人において未墾地買収計画を定めたので、その所有者四名は、同年四月二十七日異議申立をしたがこれに対しては何等の決定もない。控訴人等は農を業とするものであるし、或は保有地を他に小作させているので本件山林から控訴人或は小作人等が落葉採草をなし田畑を耕作するものであるから、本件山林を買収開墾されれば農業経営に支障を生ずるものである。又本件山林を水源として下流に一町数反歩の水田を耕作するものがあつて開墾するときは水源を失うに至るものであるから本件山林を開墾のため買収することは違法である。」と云うのであるが、この点に関する控訴本人高島祐一、同君島貞一の各供述のみにては未だ本件買収計画を違法ならしめる事実ありとは認め難く、他にこれを認むるに足る何等の証拠もないから、右買収計画の取消を求める本訴請求は失当としてこれを棄却すべきである。

よつて右と同趣旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから民事訴訟法第三百八十四条第一項第九十五条第八十九条を適用し主文の通り判決する。

(裁判官 大江保直 梅原松太郎 猪俣幸一)

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